episode 1

episode 1


 あるとき、カイヤの部屋から長らく開けてなかった引き出しが顔を見せました。くっと力を込めると簡単に開いたので中を覗くと、昔に幼なじみから貰った綺麗な水晶を見つけました。


 彼女は軽くため息をつきました。「あいつ、今どうしてるのかな…そういえば、ずっとこのくせっ毛のことで笑われてたな」と小さく呟くと、手の中にある水晶に向かって「…この髪が、せめてまっすぐならな」と続けました。


 すると、青白い光がカイヤを包み――気付けば何事もなかったように静まりかえっていました。カイヤは驚きしばらく立ちすくんでいましたが、近くにあった鏡を見て声を失いました。しばらく己を見つめ、やっと口を開きました。


 「髪が、まっすぐ、だ」


 ようやく絞り出したその声が感動に変わるまで、それほどの時間はかからず。ずっと付き合っていくはずだったその髪に、少しの間お別れすることができたのですから、彼女は子どものようにはしゃぎました。


 …彼女が跳ね歩いたあとには、薄く青白い光が残ったといいます。