story 2.5

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 「ところで」

突然フライフィアが切り出した。

「なんでしょうか」

「いや、あんたの言ってた聖?物質学…?ってなんなんだ、と思ってな」

 それを聞いたヘーネは、あぁ…と遠い目をする。

「フライフィアに関する学問ですよ」

「それは聞いたら分かる、なら歴史学者や天文学者がやればいいだろう…お前は何をしてるのか、って聞いてるんだ」

「何をしている、ですか」

年下の(ように見える)少年に「お前」呼ばわりされ、何かしらの違和感を抱きつつ、こう返した。

「端的に言うと、フライフィアが生み出すとする物質に関することを研究してる、になるかと。別に聖物質でなくてもよかったのですが、学会長のお声が掛かったのでこっちをやってるだけです」

「ふうん」フライフィアは満足したように返事をしたのだが、どうやらヘーネは気づいてないらしい、さらに話を進める。

「まあ、私もミスガイアの法則やケルクの定理などに興味がありましたし、それを応用できそうな分野だったので…ただロンス数は今でもよく分からないし、そもそもそれを使った公式は今回の実験でおおかた修正が…」

「…もう、もういいぞ」だんだん熱が入ってきた彼女には、その言葉は届かない。

「何よりブリアンが汚い公式の書き方するから悪いんです、この学問を深く学ぶ人が居ないからって」

「聞いてるか?」

「それでも、ええと、数十年ですか?修正が入らないのはおかしいですし、まず水晶を構成する…」

 ここで、やっとヘーネはフライフィアの顔を見た。

「は…す、すみません…」

「…大変、なんだな」

光る瞳には、同情と困惑の青で満たされていた。